誰もが1度は観たことがある映画、サウンド・オブ・ミュージックを英語の学習にあてようと思います。

さて、夕食の席を抜け出して庭に向かったリーズルを待っていたのは、電報を届けたロルフでした。

お互いに淡い恋心を抱く二人ですが、いろいろと障害が多そうです。
電報を配達する機会がないと会えないからです。

そんなやるせなさをリーズルがロルフに訴え、これにロルフが次のように答えました。
(なお、ロルフは、つい機密情報を口走ってしまいます。)

If only we didn’t always have to wait for someone to send Father a telegram.

I could come here by mistake with a telegram for Colonel Schneider.

さあ、今回はこの2人の会話を翻訳したいと思います。

Liesel: If only we didn’t always have to wait for someone to send Father a telegram.

Rolfe: I could come here by mistake with a telegram for Colonel Schneider.

まず If only ですが、これは、「~だったらいいのになぁ」という決まり文句です。
たとえば、If only it were just a story. 「単なる作り話だったらよいのに」というように使います。
were が使われていることに注意してください。これは、仮定法を使っています。

対するロルフも、I could come… と過去形の助動詞 could を使っています。

いずれも現在はそうではないこと(現実には実現できないこと)について、仮定法を使って話しているのです。

仮定法は、高校の英語で習うので、中学の英語では出てきませんが、上記のように日常会話でひんぱんに出てくる用法です。日本語でも現実はそうでないことを仮想的に話すのはめずらしいことではありません。そういうときは、過去形の表現を日本語でも使います。「そうだったらよかったのに」とか。そう考えれば英語の仮定法もぜんぜん難しくありません。

それでは、どう翻訳したら良いでしょうか。

Liesel: If only we didn’t always have to wait for someone to send Father a telegram.

Rolfe: I could come here by mistake with a telegram for Colonel Schneider.

その回答例は、







はい、言いますよ。

リーズル  だれかがお父様に電報を打つのを、いつも待たなくてすめばよいのに。

ロルフ   シュナイダー大佐宛ての電報を間違えて配達すれば、ここにやって来られるよ。

この後すぐにロルフはうろたえて、このことをだれにも言わないように口止めします。

なぜ?と尋ねるリーズルにロルフは、

Well, your father’s so…so Austrian. 「お父上は、なんというか、オーストリア魂だから」と言って、リーズルに次のように告げるのでした。

Well, some people think we ought to be German, and they’re very mad at those who don’t think so. They are getting ready to…Well, let’s hope your father doesn’t get into trouble.

ええと、人々の中にはドイツに併合されるべきと考える人もいて、それに反対する人を憎んでいるんだ。
いまその人たちが進めようとしている…いや、お父上が面倒なことに巻き込まれないことを祈ろう。

この場面でのロルフの発言には、この物語の背後に横たわる当時の歴史、民族、政治の問題が潜んでいます。

そんなことにはお構いなしに、恋する2人は、おりしも雷鳴が鳴り大雨が降ってきたのを逆によいことにして、ガラス張りの東屋に飛び込んで、愛を囁くのでした。

そこで唄われるのが次の歌です。

次回につづきます。

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