現在のコンピュータよりはるかに強力な計算能力を持つと言われる量子コンピューター。

今回は、量子コンピューターについて、科学誌「ネーチャー」の記述を読んでみます(写真もネーチャーから)。

Google’s Sycamore processor made headlines last year when scientists said they had achieved ‘quantum supremacy’ — carrying out a calculation that would be near-impossible to do over a reasonable timescale using a classical supercomputer.

昨年、グーグルは、シカモア(Sycamore)プロセッサを使って「量子的優位性」を科学的に達成したと発表しました。これは、従来のスーパーコンピューターを使用したならば妥当な時間的尺度での実行がほぼ不可能な計算を達成したことを意味します。
The above image offers a glimpse into the complicated set-up required to keep Sycamore cool. The processor is installed at the base of a ‘dilution refrigerator’ — a device that can be cooled to extremely low temperatures — alongside filters, amplifiers and cables that run all the way up to room temperature. Blue cables connect the cooled processor to racks of room-temperature electronics that control and read out the qubits, the quantum versions of classical bits.

上の画像でシカモアを低温に保つために複雑にセットアップされている様子を垣間見ることができます。 プロセッサは、「希釈冷凍機」(極低温まで冷却できる装置)の底部に、室温までずっと動作するフィルター、アンプ、ケーブルとともに設置されています。 青色のケーブルは、冷却されたプロセッサを、量子ビット(従来型ビットの量子バージョン)を制御および読み出す電子機器(室温)のラックに接続します。

さて、量子コンピューターとは一体どういうものなのでしょうか。

(次の記述はこちらからの抜粋です https://codezine.jp/article/detail/11616)

量子コンピュータとは、「量子力学特有の物理状態を積極的に用いて高速計算を実現するコンピュータ」と本書では定義します。量子コンピュータの「量子」は量子力学の「量子」です。

量子力学とは、大学レベルで学ぶ物理学の1つで、原子、電子などの非常に小さなものの動きを説明するために発展した理論です。この量子力学によると、原子や電子、光の粒である光子などの微小なものや、超伝導などの非常に低温に冷やした物質においては、私達が普段目にしない不思議な現象が起きるということが知られており、実際に実験的に確かめられています。

例えば、後で説明する量子力学特有の物理状態である「重ね合わせ状態」や「量子もつれ状態」などが実現されています。そして、この量子力学特有の物理状態を積極的に用いてコンピュータを作ろうというのが、量子コンピュータです。これにより、これまでの計算よりもパワフルな量子計算と呼ばれる計算ができるようになります。

この量子計算は、従来の計算とは本質的に異なるポテンシャルを有していることが研究によって明らかになりつつあります。量子コンピュータの開発は、「量子」を高度に制御(コントロール)することで、従来のコンピュータの限界を突破するコンピュータを作るという物理学とエンジニアリングの挑戦なのです

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