今回は、英語イディオムの of course について考察します。

コースcourse)は、日本語(外来のカタカナ語)としてすっかり定着しています。

コースと言えば、筆者がまだ幼い頃、白黒テレビの前で競泳のテレビ中継を見ていた風景が脳裏にあります。

水泳のレースが始まる前に、選手ひとりひとりの名前を読み上げる、独特の言い方が今でも耳に残っています。

それは、
「第1のコォース、○○くん、にっぽん、こーかん(日本鋼管)…」
「第2のコォース、XXくん、、、」といった特徴のあるイントネーションのアナウンスでした。

(ちなみに、昔は電光掲示板などもなく、音声による読み上げが聴衆に知らせる一番の手段だったことから、このように独特な言い方で周知しようとしたと言われています。また選手の所属企業を読み上げるのも当然のように行われていました。日本鋼管は、昔の名門鉄鋼メーカーで、水泳でも有名でしたが、川崎製鉄と合併して今はJFEスチールに変わっています。)

さて、今回のお題は、of course が、なぜ「もちろん、当然」という意味になるかというものです。

さあ、それは、なぜでしょうか。

その答えは、







はい、答えを言いますよ。

course には「自然の成り行き」という意味があり、of course は「自然の成り行きから」と解釈され、「自然の成り行きから」→「当然、もちろん」という意味になったのです。

もう少しくわしく見ていきましょう。

まず course の語幹にある、cour は「走る、流れる」という意味で、元々ラテン語の currere から来ています。

「走る、流れる」から、「進路、走路、成り行き」という意味になり、さらには「(順番に出てくる)食事の皿、1つの料理」を意味するようになりました。

つぎに、of という前置詞ですが、ここでは「~の」という使い方ではなくて、「~から」という意味で使われています。参考までに of のコアイメージをWeblio辞書から引用します。このイメージを頭に入れておくことは非常に有用です。今回の例では、このイメージが示す「Bから出る」の「~から」の意味です。

さて、course の語源を知っていると、さらにたくさんの単語を派生的に覚えることができます。

  • concourse 空港などで使われるコンコースと言う語、concourse は con(一緒に)という接頭語が course にくっついて、「一緒に走り、流れて集まる」ということから「(駅や空港などの)集合地点、合流地点、中央ホール」という意味になります。
  • intercourse inter(=相互に)が course に付いて、「交際、交流」という意味。ただし、性的な意味合いで使われることもあるので注意。
  • current この語の curr も「流れる」という同じ語源から。そこから「電流」の意味や、目の前を流れるから「現在の」という意味になった。
  • currency 上の current の派生語。流れることから流通する「通貨」の意味に。
  • concurrent 同様に current の派生語。con(=一緒に)が付いて、「(複数の事柄が)同時に起こる」「(意見が)一致した」との形容詞。
  • occur ob(=forward~へ)が付いて、~へ走る、から「起こる」という意味に。
  • occurrence occur の名詞形で、「出来事」。元々が current から来ていると知っていると、綴りも r が重なることを忘れない。
  • incur in(=into~の中へ)が付いて、~の中に走っていくことで、「(好ましくないことを)招く」と覚える。
  • excursion ex(=外へ)が付いて、外へ走ることから、「小旅行、遠足」という意味になる。

ところで、小田和正がリーダーを務めていたグループ名「オフコース」は、Off Course で、「コースから外れる」という意味を込めたものだったそうです。

今回は course についてのお話でした。

 

 

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