英国人の秘書からのメール表現です。背景にあるのは、契約書の締結。通常二通の契約書に当事者がサインして、それぞれが一通ずつ保管する。今回は日本から先にサインして二通を英国に送り、英国側がサインをして一部を送り返しているとの状況です。

I have now got both copies signed by a Director, and one copy is on its way back to Japan.

<書類は二部とも取締役のサインをもらって、一部は日本に送り返しています。>

この英語表現では、前半は現在完了形、後半は現在形となっています。英国人は割と現在完了形が好きで多用する傾向が強いように見受けられます。

この状況では、取締役のひとり(a Director と言うのはおそらく契約にサインできる権限をもった取締役は複数いて、その一人という意味)からサインをもらったという事実、加えて have got (目的語)signed という言い方からは、ある程度手間や苦労をかけてサインを取り付けたというニュアンスが感じられ、過去から現在につながる時間的経過を含んでいます。

一方、後半の文は、一通は日本に向かって途上にあるという現在をとらえた明快な表現です。この文章の主語は、one copy という書類であり、on its way back to Japan は、一度英国に来て、今は日本に戻る途上にあることを客観的に表しています。実は、現在形は、決して一時点で切り取ったものでなく、今現在の状況や事実を普遍的に表す時制であり、使える範囲はとても広いのです。

長くなるので詳しい説明は端折りますが、僕たち日本人は、現在形(進行形を含む)、現在完了形、過去形、そして will などを使った未来表現だけで英語は表現したらよいと思っています。過去完了、未来完了やましてやその進行形(過去完了進行形、未来完了進行形)などを使う必要はほとんどないと思います。その話は、機会があればまたべつのときに。

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