NHK朝ドラ「まんぷく」の一シーンから。
進駐軍に捕らえられた夫について、米国人MPに対して主人公が叫ぶ場面です。
My husband never ever does anything like that!
(私の夫は絶対そんなことはしません!)
ここで注目は never ever です。これは決まり文句として「絶対に~ない」という意味で使われます。
さらに注目するのは ever です。現在完了形の文を習うとき、必ずと言って登場することを覚えていますか。
例えば次の文です。
Have you ever been to France? あなたはかつてフランスに行ったことがありますか。
この文が刷り込まれていて、日本人は ever は「かつて、いままで」という意味だと思い込んでいます。実のところ、ever が本来持っている意味はそうではありません。
もし単純に「かつて、いままで」であれば、上記の質問に対してこう答えることが出来るはずです。
Yes, I have ever been to France. (x)
しかし、これはネイティブからすると不自然に聞こえます。答は次で良いのです。
○Yes, I have been to France. (その上で例えば次を続ける I visited Paris last year.)
前置きが長くなってしまいました。ever の本来の意味は「いつ、いかなる、どの時をとっても」なのです。したがって Have you ever been to France? の ever は、例えば「生まれたとき」、「3歳の時」、「中学生の時」、「5年前」、「去年」、「昨日」など、どの時の一点でもフランスに行ったことがあるかと訊いていることになるのです。
逆に、これを肯定文で使う(上記 x 印を付けた文)と、「どの時点の一点でも、いつもフランスに行っている」という意味になってしまい、不自然に聞こえるわけです。
それでは、ever は肯定文では使えないのかという質問が出そうですが、そんなことはありません。例えば、次のように言えば、まさしく ever を正しく使っていることになります。
This is the first time I have ever used this computer.
つまり、「今回が、このコンピュータを、いついかなる時点でも使う初めての時です。」
→「このコンピュータを使うのはこれが初めてです。」
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