今日は challenge という単語について考えてみます。

チャレンジと言えば完全に日本語に入り込んでいて、日常ひんぱんに使われています。

しかし日本語で言うチャレンジと、英語の challenge には意味のずれがあるので注意が必要です。

試しに Google 検索で、<nishikori challenges> の二つの語を入れて調べてみたところ、次のサイトが上位でヒットしました。
https://www.theguardian.com/sport/live/2016/sep/07/andy-murray-kei-nishikori-us-open-mens-quarter-final-live

この記事の中にあった Nishikori  と challenges の2語が載っている文章は次でした。

Murray challenges Nishikori’s serve and it’s in.

これは、<マレーは錦織のサーブに challenge したが、それはセーフだった。> と言っていますがその意味は何でしょうか。実は、テニスの記事で challenge とは、審判の判定に対して「異議を申し立てる」との意味で使われるケースがほとんどです。

それ以外では、一般に challenge は「勝負を挑む」という意味で使われます。例えば次の文章です。

Trump challenged Hillary to the U.S. Presidential election.

<トランプはアメリカ大統領選挙でヒラリーに挑んだ。>

一方で、チャレンジを使った典型的な日本語の表現を考えてみます。

「今年は新しい可能性にチャレンジしたい」

それでは、これを英訳して I want to challenge new possibilities this year. と言えるでしょうか。おそらくそれはやや不自然な印象の英文になると思います。なぜなら、英語では「勝負を挑む」ということですから、「新しい可能性に勝負を挑む」という日本語に直しただけでも不自然なことがわかるでしょう。

じゃあどう表現したら良いでしょう。僕は多くの場合日本語でチャレンジするという表現は、「トライする」に置き換えられるのでないかと思っています。従い上記の文章は次のように言い直せば、より自然な英文になることでしょう。

I want to try new possibilities this year.

チャレンジするという日本語を英語に直す場面では、それが本当に「勝負を挑む」、あるいは「異議を申し立てる」のかどうかをよく考えることが必要ですよというお話でした。

 

0