誰もが1度は観たことがある映画、サウンド・オブ・ミュージックを英語の学習にあてようと思います。

さて、教会を後にマリアは旅行鞄とギターケースを抱え、旅立ちました。

そうです、新しい働き口である大佐の家に向かったのです。

大佐には7人の子供たちがいると聞いています。
彼らの家庭教師がマリアの新しい仕事なのです。

初めは自信なげに教会を出たマリアでしたが、持ち前の明るさでだんだんと元気と自信を取り戻して、はつらつと歌い上げます。そのとき唄われるのが次の I Have Confidence(日本語名「自信をもって」)と言う曲です。

「自信をもって」、意気揚々とトラップ家に乗り込んだマリアでしたが……

トラップ大佐は妻を亡くしており、7人の子供がいました。
大佐は、軍の規律を家に持ち込み、笑いは消え、軍隊のように子供たちをしつけています。

しかし、子供たちは表面は従順そうでも、内面は父親に甘えたい、やんちゃでいたずら好き。
だからいままでどの家庭教師も長続きしていません。

さっそく子供たちはマリアにいたずらを仕掛けます。

マリアのポケットになにやら動くものが。
思わず持っていたギターケースを落とし、ポケットからカエルを引っ張り出し、悲鳴を上げるマリア。

その日の晩餐の席。遅れて席に着いたマリアがまたもや悲鳴を上げる。
急に立ち上がり、席を見る。椅子の上に大きな松ぼっくりが置いてある。

皮肉っぽい表情で、どうかしたのか聞く大佐でした。

しかしその場で子供たちのいたずらを告げ口するようなマリアではありませんでした。

ここからがマリアの真骨頂です。

いたずらを仕掛けた子供たちに、丁寧ながら皮肉たっぷりに感謝の言葉を述べるのでした。

I’d like to thank each and every one of you for the precious gift you left in my pocket earlier today.

さきほどはポケットに大切な贈り物をもらって、皆さん一人一人にお礼を言います。

Knowing how nervous I must have been, a stranger in a new household, knowing how important it was for me to feel accepted…it was so kind and thoughtful of you to make my first moments here so warm and happy and pleasant.

初めての家に来てどんなに心細いかと思って気を遣ってくれたのですね。皆さんに受け入れられたと思えることが私にとってどんなに大切なことかわかってくれて、本当にやさしくて思いやりのある人たちなんですね、あなたたち。初めての出会いをほんとうに温かくて、幸せで、楽しいものにしてくれました。

子供たちがすすり泣きを始めます。それを見て、大佐がいぶかしんで放った言葉が次です。

Is it to be at every meal, or merely at dinner time, that you intend leading us all through this rare and wonderful new world of indigestion?

 

さて、この大佐の言葉の意味はどういうことでしょうか。

やや難しい単語は indigestion (ìndidʒéstʃən、インディジェスチョン) ですが、これは「消化不良」という意味です。英英辞書の説明は、 pain that you get when your stomach cannot break down food that you have eaten(食べたものを胃が分解できないときに起こる痛み)と書かれています。

子供たちが泣き出して食事が進まないことを不思議に思って、一体どういうことかと尋ねているわけです。

◎Is it to be at every meal, or merely at dinner time, that you intend leading us all through this rare and wonderful new world of indigestion?

さあどう翻訳したら良いでしょうか。

その回答例は、







はい、言いますよ。

「食事のたびですか、それとも夕食時だけのことなんでしょうか。このように、珍しくもすばらしい未知の世界に連れて行ってくれて、食事も喉を通らなくさせようというのは。」(中あな流翻訳)

おそらく大佐は、子供たちがなにかいたずらを仕掛けたことに気づいていたのでないかと思います。

普通の家庭教師ならば、子供たちの悪行を告げ口したりして自分を正当化しようとするでしょう。

しかしマリアはちがいます。

子供たちのマリアに対する見方が変わった瞬間でした。(そしておそらくは大佐も。)

次回につづきます。

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