つぎの日本語を英語にして下さい。
◎自分の古い車を運転すると、騒音で気が散ってしまう。
「自分の古い車を運転すると」の部分は、英文を示すことにします。
- When I drive my own old car, ….
これに続いて英文を完成するために、そこでのポイントは、「気が散る」をどう表現するかです。
今回のこの「気が散る」という動詞も、やや難しい部類で、中学で出てくることはありませんし、高校でも出てこないかもしれません。でもなぜ、こういう単語を取り上げるかというと、英語は動詞表現が豊かな言語であり、ぴったりとした動きや状態を理解したり、表したりするためにたくさんの動詞の語彙力をつけた方がよいからです。make, have, give, get などの基本動詞だけで表すには限界があります。
そこで「気が散る」という表現でも、これが一番ぴったりすると言う動詞がありますのでそれを紹介したいと思うわけです。
さあ、ここで、冒頭の問題に戻ります。
◎自分の古い車を運転すると、騒音で気が散ってしまう。
これを英文にするには、「気が散る」という英語表現が鍵になると言いました。
さあ何と表現したら良いでしょうか。
その答えは、
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
はい、答えを言いますよ。
◎When I drive my own old car, the noise distracts me.
音声読み上げを聴いてみたい方は次からどうぞ。
When I drive my own old car, the noise distracts me.
ここでのポイントとなる「気が散る」を表すのは、distract という他動詞です。これは「(人の)気持ちをかき乱す」「(人の)気を散らす」という意味です。日本語の「気が散る」は自動詞のような印象を受ける表現ですが、英語の場合は、「~させる」という他動詞であることに注意してください。
このことは、感情動詞というものの特徴で、感情を表す動詞は、基本的に「させる」という意味になります。
これは、日本語と英語の発想の違いを感じさせるもので、日本語では感情は内面から湧いてくるものという考え方をとるのに対し、英語では外的要因によって感情が動かされると考えているのではないでしょうか。
感情動詞には、surprise(驚かせる)、disappoint(がっかりさせる)、worry(心配させる)、please(喜ばせる)などたくさんの言葉があります。
人を主語にする場合は、動詞を過去分詞にして使います。
- We were surprised at the news. (私たちはそのニュースに驚いた。)
でもこれも、the news を主語にすれば簡潔に表現できます(distract と同じように)。
- The news surprised us.
なお話を、distract に戻すと、この語は、dis(離れる)+ tract(引っ張る)という組み合わせでできています。tract は tractor(トラクター)で使われています。トラクターはもともと牽引する機械という意味なのです。
今回は、「気が散る」distract についてお話ししました。
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