前回 Topic 119 「since と ago は相性が悪い?」で ago は「現在から過去の時点まで」を考えていると言いました。
例えば次の文をみてください。
1.Paul said, “John left Tokyo five days ago.”
(ポールが、「ジョンは5日前に東京を去った」と言った。)
このように “xxxx” と quotation mark で区切ってだれかの発言を表現することを「直接話法」と言うのをご存知だと思います。
これを「間接話法」にするとどうなるでしょうか。
2.Paul said that John had left Tokyo five days before.
1→2で変化しているポイントがふたつあります。
1)2では that 節の中の動詞が過去完了形になっています。この理由は、1でポールが発言した時点でジョンが東京を旅立ったのはもうひとつ過去の話だったからです。
2)ago ⇒ before に変わっています。今回はこの理由を考えてみます。
まず1の文では、ポールが発言しています。ポールの頭の中では、ジョンが旅立ったのは、ポールから見て「現在から過去の時点までさかのぼって」5日前です。従って ago を使っています。ago は ago と発言している人の意識として「現在から過去をさかのぼって」いることを意味します。
次に2の文でもポールが発言していますが、ポールの発言を天から見ていると思ってみてください。天から、ポールの発言を見るとポールが発言した時点からさかのぼって5日前にジョンが旅立った事実があります。それを「間接話法」で that 節を使って伝えています。これはポールが発言した時点から5日前ですので、「現在からさかのぼる」ago は使えず、before を使うのです。before は相対的に「~の前」という意味だからです。
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