英単語の challenge について考察します。

通常、日本語でチャレンジというと「頑張ってなにか新しいことに取り組む」というイメージで使われていますね。

それでは、次の文章を英語でなんと言ったら良いでしょうか。

◎私は、今年新しいことにチャレンジしたい。

(答えは後で。しばらく考えながら、読み進めてください)

元々、英語の challenge から、チャレンジというカタカナ表記が生まれたことは間違いありません。

しかし、英語の challenge と日本語のチャレンジは同じ意味なのでしょうか。

答えを先に言いますと(というより標題に書いてしまいましたが)、これが異なるので厄介であり、注意が必要です。

では、どのように違いがあるのでしょうか。こういう場合には、英々辞書に当たって原義を探ることが大切です。

ということで、次は Merriam Webster からの引用です。

まず動詞としての説明です。

1: to say or show that (something) may not be true, correct, or legal : dispute
(何かが)真実ではない、正しくない、あるいは合法ではないかもしれないと言ったり、示したりする : 異議を唱える

The new lawsuit challenges the lower court’s decision.
新しい訴訟は下級裁判所の判決に異議を唱えるものである。

(中略)

4: to invite (someone) to compete in a game, fight, etc. — usually + to
競うために(誰か)をゲームや試合などに誘う – 通常 + to

I challenge you to a game of chess.
私はあなたにチェスの勝負を挑みます。

次に名詞としての説明が続きます。

1: a difficult task or problem : something that is hard to do [count]
困難な課題や問題:実行するのが難しいもの[可算]

The next major challenge for the company is to improve its distribution capabilities.
その会社にとって次の大きな課題は、物流能力の向上です。

2 [count] : an action, statement, etc., that is against something : a refusal to accept something as true, correct, or legal — often + to
[可算] 何かに反対する行動、声明など : 何かを真実、正しい、または合法として受け入れることを拒否すること – しばしば + to

Both teachers have had to deal with many challenges to their authority.
どちらの先生も、自分の権威に対する多くの挑戦に対処しなければなりませんでした。

どうでしょうか。この英々辞書の説明を読むと日本語のチャレンジとはだいぶ異なっていることがわかります。

筆者が、challenge と聴いてすぐに思い浮かぶのは、テニスの錦織選手がボールがアウトかセーフかの判定に異議を唱えるシーンです。

あれこそが、challenge の語義を表すものです。

もうひとつは、解決すべき「課題」「難題」というイメージも浮かんできます。

 

 

それでは、冒頭の問題です。つぎの文章を英語に直してください。

◎私は、今年新しいことにチャレンジしたい。







はい、答えを言いますよ。

◎I want to try something new this year.

日本語のチャレンジ=「頑張って取り組む」ということを英語で言い表すのに一番適しているのは try だと思います。

Let’s try to do it!

 

今回は challenge の語義を正確に理解して、日本語のチャレンジと区別をすることが大切であるというお話でした。

 

 

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