「ひとの口に戸は立てられぬ」ということわざを聞いたことがありますか。

そうですね、「世間のうわさ話は、防ぎようがない」ということのたとえとして使われます。

ここで言う「戸」とは、障子や板戸のことですね。

 

 

さて、それでは、この「ひとの口に戸は立てられぬ」を英訳するとしたらなんと言ったら良いでしょうか。

それも、たったの3語でです。

答は?






はい、正解は次です。

People will talk.

実は、これすでに、この中あなで以前(トピックNo.3)で紹介したことがある英文なんです。
トピックNo.3は、こちらからご覧ください。

そこで説明しましたが、この英文は、「人というのは、噂をするものだ」という訳が当てられることが多い決まり文句です。
なぜ今回また紹介するかというと、will についてもう少し深く考察したいと思ったからです。
そして、なぜ、この英文がそういう意味を持つようになったのか、を考えてみます。

特に、この People will talk. の用法は、3人称で使われるという特異性があります(1人称、2人称では使われない)。その理由を探りたいと思います。

  1. まず歴史的にみて、 will の大元の原義は、「欲する」(desire)でした。そのため、主語の「意志」を表す will には、この原義が色濃く残っています。
  2. その現れとして、will は、通常1人称を主語にした上で、自分でコントロールできる動詞を伴って、その「意志」を表します。たとえば、
    1. )  I will never forget you. (決して君を忘れない)とか、
    2. ) We will begin our remote work next week. (来週、在宅勤務を開始します)とかです。
  3. さらにその延長上で、1人称主語will は、意志の他に、自発性(willingness)承諾(conscent)約束(promise)を含みます。また、意志は本来、将来や未来に向かってどうする、どうしたいというものですから、未来を示す副詞句(in the future, tomorrow など)と一緒に使われて、未来のことを表します。(これが、通常、will の意味として未来を表すと思われるものです。しかし、実際は、will のもつさまざまな意味の1つにすぎません。)
  4. 次に、2人称主語とともに、疑問文に用いられると、依頼(request)、さらに招待(invitation)を含意します。たとえば、
    1. Will you marry me? (結婚してください)<依頼>
    2. ) Will you have some more tea? (お茶をもうすこしいかがですか)<招待>などです。
  5. さてそこで、3人称です。人が意志を持ってたびたびやることはやがて習慣になります。そこで意志の will から、繰り返して行う、習慣的な行動を表すようになります。これは、主に、3人称で用いられます。なぜならば、「~するものだ」という特徴や習性を表す表現は、自分(1人称)や相手(2人称)に対してでは起こりにくく、やや離れたところから見た第三者(3人称)に対して使われるからです。
  6. それでは、習慣、習性を表す will の文例をいくつか紹介しておきます。
    1. ) He will work one day and play the next. (彼は1日働いては、次の日は遊んでいる。)
    2. ) He will sit there for hours watching the sea. (彼は何時間もそこに座ってはよく海を見つめている。)
    3. ) Tora-san will love the wrong women. (寅さんは、えてして間違った人を恋してしまう。)
    4. ) Boys will be boys. (男の子は、所詮男の子だ。)

 

今回は、will の用例について考察しました。

 

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