前回、Topic 144 初対面でのあいさつ(出会った時と別れ際のあいさつ)で、

初対面で、「お会いできてうれしいです。」は、Nice to meet you. と言う。そして、

その人と別れ際には、Nice meeting you. と言うことを話しました。

その際、なぜ出会い頭には、Nice to meet you. と「to 不定詞」を使い、別れ際には、Nice meeting you. と動名詞(いわゆる ing を付けた形)を使っているのか、その理由について、

◎一般に、to 不定詞の動詞(ここでは、Nice to meet you の to meet)は、これから起こることを示していること。

◎一方で動名詞(ここでは、Nice meeting you の meeting)は、すでに起こったことを示していること。

言い方を換えると、to 不定詞の動詞は未来を暗示している動名詞は過去を暗示しているということを申し上げて、これについては、別途くわしくお話ししたいと結んでいました。

今日は、その続きです。(上記は、前回のおさらいでした。ここからが本番です。)

さて、動詞は、単独で使うだけでなく、「to不定詞」や「動名詞」と組んで、複合的な意味を出す表現が多くあります。

たとえば次の用法です。(ここで挙げているそれぞれの動詞は、to不定詞としか結びつかない、または動名詞としか結びつかない、という性質を持っています。)

「動詞+to不定詞」を使って、要望、希望、欲求などを表す言い方
want to do   ~したいと思う
wish to do   ~したいと思う
manage to do  何とかしようとする
need to do   ~する必要がある

「動詞+動名詞」を使って、中断、停止、やめること、逃避などを表す言い方
finish -ing   ~し終える
quit -ing  ~するのをやめる
postpone -ing  ~するのを延期する
deny -ing    ~しないと言う

どうですか。この2つのカテゴリーを見比べて、なにか感じることはないですか。
その答えは、





はい、
そうです。「動詞+to不定詞」のグループは、割と積極的、未来指向で前向きなのに比べて、「動詞+動名詞」のグループは、割と消極的、後ろや過去を向いていて、ネガティブだということです。

ただし、「動詞+動名詞」のグループに入るものでも、上記の性格分けとちょっと異なるものがあります。それは次です。

「動詞+動名詞」を使って、頭の中で反復して考えた動きを表す言い方
enjoy -ing  ~することを楽しむ
consider -ing ~することを熟慮する
suggest -ing ~しようと提案する
mind -ing  ~することを気にする(嫌がる)

頭の中で反復して考えたと言う表現をしたのは、このような動きをするときには、実際にはその前に何度かそのことを頭の中で繰り返しており、自分の中では過去のことになっているからだと思って下さい。こじつけと思うかもしれませんが、「動詞動名詞」の持つ性格付けをこのように行ってしまえば、覚えるのが格段にやさしくなります。

さて、動詞の中には、上記のように「to不定詞」だけと結びつくものと、「動名詞」だけと結びつくもの以外に、どちらにも結びつくものがあります。その例を挙げてみましょう。

  • remember
    • You must remember to do your homework. (忘れずに宿題をやりなさい。)
    • Do you remember visiting Kyoto when you were a student? (学生の頃京都に行ったのを覚えていますか。)
  • forget
    • Don’t forget to set the alarm for seven. (目覚ましを7時にセットするのを忘れるな。)
    • I will never forget falling in love with you. (あなたと恋に落ちたのを忘れない。)

この場合、to不定詞が意味するのは「~するのを覚えておく」、「~するのを忘れる」で、いずれもこれから起こる(未来のこと)についてです。

それに対して、動名詞が意味するのは「~したのを覚えている」、「~したのを忘れる」であり、いずれも以前のこと(過去のこと)についてです。

ここにも、to不定詞は未来のこと、動名詞は過去のことを示唆しているという法則が成り立っているのが分かります。

今回は、動詞が「to不定詞」と「動名詞」とくっついたときにも、それぞれが未来、過去を暗示していることについて例を挙げてお話ししました。

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